はじめに
初めましてこの度はKitchen storyのサイトへのご訪問ありがとうございます。
kitchen storyは、料理研究家の岩佐淳子と、フリーライターの吉田悠子によるレコードユニットです。
はじめに私達が、この活動を始めた理由をお話しさせて下さい。
料理研究家である岩佐淳子は、甲子園で料理教室を主催して17年になります。
イタリアン、中華、タイ料理、ベトナム料理、発酵食を使った料理など、
美しい野菜や器、旬の食材をふんだんに使い、様々なジャンルの料理に触れ、伝える仕事をして来ました。
日々移り変わる流行や、今求められている物をいち早くキャッチし、出来るだけ多くの方に、毎日の食卓が少しでも楽しく美味しくなるレシピを提供したいと考え、無我夢中で学び、研究し、発信する。そんな日々でした。
そんな岩佐にとって2020年は大きく立ち止まる1年となりました。
日常だったレッスンが全てストップし、生活が激変。
それは『何が大事』であるかをじっくりと考え直す時間でした。
そんな中で漠然と生まれたのが『検索しても出てこないレシピ』
20代の頃に留学していたイタリアでは、
「ママのお料理は世界一。どんなレストランの食事よりも美味しい!」と大人も子供も堂々と公言し、
そのレシピを家族皆んながとても大切にしていました。
日本にもかつては『お袋の味』と言うものがありましたが、この便利な情報社会、作った事の無い料理のレシピはわざわざ母親に電話して聞かなくても、ネットで調べればすぐに無料で手に入ります。
でも、何でも出てくる時代だからこそ、必然的にどうしても記録に残したい物。
それは特別ではなくて、日々の積み重ねの中にあるもの。
わざわざ写真に撮らない、改めてレシピにしない。
そういう家族の大切な『あの味』を記録に残したいと考えたのです。
岩佐の思いに感銘を受けた吉田は、それならば、その『味』の向こう側にある物語ごとパッケージしてはどうか、
そして、その物語を自分に描かせて欲しいと申し出ました。
スターバックスで語った夜の事です笑。
五感を呼び起こし、あの頃の記憶ごと蘇る様な、自分だけが知っているあの味。
それって物凄く尊い物だと思うのです。
今日作りたいレシピでは無く、
誰もが美味しいと感じるレシピでも無い、
フォトジェニックでも無くて、イイネもいらない。
ただ、この日々が過ぎても、ずっと覚えていたい物語の様なレシピを記録したい。
本当に大切なものは、小さな画面の中の果てしない世界では無く、
ちゃんと自分の中にあるのだと、そんな思いでゴールもないままに走り出した企画です。
私達は14歳の時にYMCAのキャンプで出会い、
学生時代はキャンプリーダーとして子供と自然の中で過ごす活動をしていました。
そんな私達が、それぞれ家庭を持ち、母になり、子供達が、出会った頃の私達と同じ位の年齢になって、
今、改めて伝えたいと思う事。
毎回の取材で、教えられた事や残したいと思った事をここに纏めて行きます。
取材を重ねる度に、食べる事は生きる事なんだと改めて感じています。
色々な方の知恵と工夫と溢れる愛が詰まった其々のキッチンストーリーが、
目にして下さった貴方の日々を励ます物になればと願っています。